マンガ家の生存戦略、始めましょうか!
10年後のマンガ業界はどうなっているだろうか?
もちろん未来のことだから誰にもわからないけど、
10年前と比べて今がどうなっているかを考えれば大体は想像つきます。
【10年後のマンガ業界はこうなっている!?】
・マンガ雑誌の発行部数は約半分になり、連載の主戦場は完全にWEBへ移行している。
・コミックスの全体売上は大きく変動しないが、紙の単行本と電子コミックのシェアが逆転。コミックスの全体売上のうち約60%を電子コミックが占めている。
・紙の単行本の印税契約が電子コミックの印税契約に合わせる形になり、刷り部数ではなく、実売部数に応じた印税契約に切り替わる。
こうなった時に、今と同じ収益を上げようとすると・・・
(単行本価格は上げない前提で)返本率や印税率にもよりますが、単行本の実売部数が約1.2倍にすることが出来ないと今と同じ収益を上げることが出来ないわけです。
10年後に今より単行本が売れる未来が想像できるマンガ家はそう多くはないはずです。
じゃあ、これから10年20年とずっとマンガを描いて、マンガ家として食っていくにはどうすればいいの??
『そんなもん単行本が売れるようにいいマンガを創るしかないだろ』
確かにそうなんですけど、それが出来たら苦労しませんよね。
だから、マンガイズムは”マンガの売り方”そのものを考え直すことから始めました。
ここからはいよいよ本題となる<マンガ家の生存戦略>についてです。
まずはマンガの読者について分析してみました。
マンガというコンテンツを消費する読者は下記の4つの層に分かれて存在しています。
【マンガの読者区分】
①お金に糸目はつけない信者的ファン層
②500円とか600円の単行本を買ってくれるマンガファン層
③安いのであれば試しに買ってみようかな、古本で十分だわという層
④タダじゃないと読む気はありませんよという層
私は、長年マンガ・アニメ・ゲームのプロモーションに携わってきました。
色んなコンテンツの流行り廃りを見てきてわかったことが一つあります。
それは・・・・
<買う人は何をしなくても買うし、買わない人は何をしても買わない>
ということです。
ハナからお金を出して買う気がない人に対しては、どんなにお金をかけてプロモーションを行ったとしても、どんなにコンテンツの内容を魅力的なものにしたとしても全く響きません。
これまでの経験からして④→②に持ってくるのはほぼ不可能に近いことな訳です。
プロモーションやコンテンツの内容によって人の心が動く可能性があるとしても、
④の層→③の層、③の層→②の層、②の層→①の層という階段一段分がやっとです。
ComicWalker、マンガボックスなどのいわゆる連載型のWEBコミック誌の編集部は、
いかにして④の層→②の層に引き込んで単行本を買ってもらえるかということを日々考えておられます。
彼らの本業はあくまでも”出版”ですから単行本を売ってナンボの商売をされているので当たり前といえば当たり前なのですが。
ここで改めて聞いてみたいと思います。
これから10年、20年とマンガを描いて食っていくにはどうすればいいと思いますか?
その答えは、①〜④の各層に分かれる読者に対してそれぞれ適切な深度のコミュニケーションを取ることだと考えます。
どんな状況だろうと単行本だけで十分な利益を稼ぎ出すマンガ家はいるのでしょうが、
出版社だけに依存し続けている限り、①〜④の各層に対して500円とか600円の単行本を
出版して買ってもらうという単一的・画一的なコミュニケーションしか取れないという
ことになってしまうんです・・・。
そうではなくて、お金を出してくれる読者にはより深度の深いコミュニケーションを、
タダじゃないと読まないという読者には深度の浅いコミュニケーションを取っていく。
そして、それぞれのコミュニケーションを全てお金に変えていけるようにするんです。
一旦、マンガ業界以外にも目を向けてみると・・・
エンタメ産業の他の業界を見ればわかりやすいかもしれません。
音楽業界においてはAKBを筆頭とするアイドルが業界の不況に風穴を開けましたし、
ゲーム業界においてはソーシャルゲームが業界の不況に風穴を開けました。
なぜ、風穴を開けることが出来たのか!?
それは①〜④の各層に分かれているという前提で、各層に対してそれぞれ適切な深度のコミュニケーションを取った結果、爆発的な利益を生み出せたんだと分析しています。
音楽業界におけるアイドルの売り方を例に出すと、
YouTubeで聞くので十分だという層にはYoutube公式チャンネル(広告収益)を、
CDは1000円だし高いなという層には1曲250円でiTuneに下ろして販売(販売収益)を、
生で見てみたいなという層には劇場公演・ライブ(イベント収益・物販収益)を、
同じ時間を共有したいという層には握手券付きCD(販売収益)を用意したわけです。
話をマンガ業界に戻しますね。
これをマンガ業界に置き換えたら、どういったコミュニケーション方法になるだろうかと考えた末にたどりついた答えが、このマンガイズムというプロジェクトなんです。
【マンガイズムが考えるマンガの売り方】
④の層には、タダで読ませる代わりに投稿サイト機能における広告収益の人柱になってもらう。 タダで読める代わりに投稿サイト機能における広告収益に貢献してもらう。
※訂正した箇所につきまして、誤解を招きかねない不適切な表現となっておりましたこと深くお詫び申し上げます。
③の層には、安くすればするほど読者もマンガ家もハッピーになれる電子書籍ストア機能にした上で、気軽に試し買いしてもらう。
②の層には、今まで通り出版社を通じて単行本を出版して買ってもらう。
①の層には、擬似的ファンクラブ(プレミアム会員)機能とクラウドファンディング機能によって、より付加価値のある内容物をより高価格で購入・支援してもらう。
これらを一つのプラットフォームにまとめあげ、さらに広告マンとしてこれまで培ってきたプロモーションの経験・手法も惜しみなくマンガ家の皆さまに提供していくことがマンガイズムというプロジェクトの第一歩になります。
こんなプラットフォームがあったら便利かなーという適当なものではなく、マンガ家の生存戦略を分析・検証した結果を形にしていったものになりますので、一人でも多くのマンガ家に賛同してもらえることを願っております。
マンガの未来を一緒につくりましょう!!
今回はこの辺で。
ほな、また!!